サイバラ(西原理恵子)さんと、あじま(吾妻ひでお)さんの・・・共著?
中身は、+月乃光司さんとの鼎談形式でのアルコール依存症の啓蒙書。
アルコール依存症患者とその家族の体験談です。
若い時分は私もアルコールに逃げていたクチなんで、
いつか読んでみたかったんですが、ようやくその機会に恵まれました。
酒癖で困っている人がいたら、一読の価値ありです。
要点としては、大酒飲みとアルコール依存症は、別物であるらしい。
アルコール依存症ならば、治療法がある程度、確立しているらしい。
キチンとした施設で治療を受ければ、治ることもあるらしい。
とは言え、治らないまま・・・人生を終えてしまうこともあるらしい。
治療にあたっては、一度、どん底まで落ちる「底つき」も必要らしい。
そんなことを知る良い本でした。
これを知らないで、自ら危険なサバイブをするよりも、
救いになるんじゃなかろうかという治療法や社会的な基盤が存在すること、
そして、アルコール依存症とはなんたるかを教えてくれます。
昨今は、危険ドラッグの事件もよく報道されますが、
アルコール依存症の人にとって、お酒は覚せい剤と大差がないようです。
しかしながら、実生活では覚せい剤以上に、
身近に存在し、誘惑が多いことが難点のようです。
長谷川病院や久里浜病院、吉祥寺のいせや等、実名がポンポン出てきます。
そして、スリップ(断酒の失敗)しただの、逝っただの・・・。
アルコール依存症が、すぐそこにあるリアルで、
すぐ隣にある危険な病であることがわかります。
最後に、三者の半生が年表になっていますが、
あじま先生も、月乃氏も、お酒を飲んでいない生活のほうが長いんですよね。
それに比べて期間の短いアルコール依存症の時代に、
色々と大きなものを失ってもいるので、実に考えさせられます。
私自身、寄る年波でお酒を飲む機会は減りましたが、
何かに依存したくなる気持ちは、大変よくわかります。
土俵際、徳俵に足がかかってからが正念場。
わかっちゃいるが、逃避や自棄の念で、迷いが生じてしまう。
底つきから再起した人もいるのだから、
まだまだ自分にも、きっと芽があると思いたい・・・
ん?・・・思えるか?
・・・本当に、まだ芽があるのか?
あぁ・・・軟弱な、私のこころは揺らぐのでございました。