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晴れやかなる四十路へ!

「少女は卒業しない」読了


桜の開花の知らせがあって、はかま姿の女子学生を街で見かけました。
卒業シーズンですね。
季節に合わせて「少女は卒業しない」を読了しました。
これで朝井リョウさんの作品を三つ読んだことになりますが、
本作が一番、私好みでした。

「桐島、部活やめるってよ」と「星やどりの声」では、
キーマンに関わる人たちを描く構成でしたが、
今回は、卒業とその学校に関わる人たちを描く構成でした。
私にも馴染みがある構成で、
キーマン自体が登場しないことのもどかしさを感じなかったのでしょう。
かわって青春時代の群像劇ですから、
それぞれの恋模様がじれったくて、むしろ、そのもどかしさが楽しかったです。

どちらも、確かにもどかしいのですが、恋のもどかしさだったことで、
相手を求める気持ちと、思いやりで揺れる人物像が、
きっとわかりやすかったのだと思います。

また、卒業と舞台の学校を通して、多くの人が絡み合ってはいますが、
短編ごとには、恋する二人にフォーカスがあっているので、
がちゃがちゃした慌しい描写が少なくて、
私の心を掻き毟ることがなかったのでしょう。

描かれる時の流れもゆるやかに感じる、
より丁寧な情緒的な描写になっていたと思います。

あと数日もすれば、東京の街も桜が咲き誇ることでしょう。
もしかしたら、想い出を想い出として、
心に残す情景をプレゼントされているのかもしれません。
きっと再スタートするには良い季節なのでしょうな。


by ambitious-n700 | 2019-03-25 06:12 | 漫画・TV・映画等 | Comments(0)
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