ふるさと納税って、聞いたことある人は多いと思いますが、
実際に活用している人は、どれ程いるのでしょうかね?
私自身、さほどの高額納税者でもないし、
その恩恵は少ないかと、大して気にも留めてなかったのですが、
その制度の仕組みを勉強して、ついに手を出してしまいましたよ。
疑義の残る、微妙な制度ではないかと思いながら・・・ね。
では、過熱しているらしい・・・「ふるさと納税」を、
私なりに、ひも解いてみたいと思います。
(※もし間違いがあったら、ご指摘してくだされば幸いです)
控除だ!控除だ!と言いましても、
今まで私に馴染みのあるのは、医療費控除と扶養控除ぐらいでした。
総所得から、その控除額を差引いて課税額を出す、
【所得控除】と呼ばれるものが大半ですね。
ですが、ふるさと納税って、
【所得控除】と【税額控除】を併せた制度らしいです。
【税額控除】の制度利用は少ないようですが、
税率をかけて算出した税額から、さらに差引く制度です。
ですから、納税者が自治体に支払う税額(住民税)に対して、
そのまま寄付金の額を、ほぼほぼ差引くわけでございます。
まぁ言い換えれば、寄付をしても、寄付をしなくても、
納税者の負担する総額は、ほぼほぼ変わらないのです。
そのうえ、寄付した自治体から返礼品が送られてくれば、
返礼品の価値の分だけ、納税者の生活は潤うわけです。
さらに言えば、換金性の高い返礼品は、いけないことになっていますが、
うまく換金できたとしたら、実質、減税とかわらないのです。
今年はTVCMなどが流れ、一段と注目されてますが、
どうしてあまり広報されなかったかと考えますと、
この制度が広まると、利害の反する人が出てしまうからと思われます。
そこで、ふるさと納税の制度導入で、立場と利害の違いを考えてみました。
仮に、A市在住の低額納税者Gさんが、
B町へふるさと納税として、限度額いっぱいの寄付をします。
B町は、Gさんへ相応の返礼品を贈ります。
また、A市在住の高額納税者Sさんが、
B町へふるさと納税として、限度額いっぱいの寄付をします。
B町は、Sさんへ高額返礼品を贈ります。
さらに、B町の返礼品を送る地元業者をXとして、
ふるさと納税サイトを運営している業者をYとします。
さて、ふるさと納税の制度を導入する前と後では、
その立場と利害はどうなるでしょう?
A市は、住民税の税収が減って「損」
B町は、寄付金として収入増で「得」
Gさんは、相応の返礼品がもらえて「少得」
Sさんは、高額の返礼品がもらえて「多得」
地元業者Xは仕事が増えて「得」
サイト運営業者Yも「得」となります。
ですから、損する自治体が出る以上は、配慮しなければカドが立ちますし、
制度利用できない非課税世帯の人たちには、そもそも関係ない話でもあります。
よって、全ての人の利益にはなっていないので、
一気に広まることもないと思われます。
ちょっとややこしい制度ですから、一般には理解していない人も多いようですが、
経理や税務関係の仕事をしている人は、むしろ、知らなければ務まらないわけで、
いちはやく制度を理解して、そそくさと利用している率が高いようです。
また、所得税の累進性とは反対に、
高額納税者の方が制度的な利潤が多くなり、逆進性があるといえます。
GさんよりSさんの方が、より高価な返礼品を手にすることができる訳です。
高額納税者は、妬まれたくもないので、
あまり声高に言わない心理もまた、働くかもしれません。
そして、ざっくりとお金の流れをまとめてみますと、
本来、住民票のある自治体(A市)へ入るはずだった税収を、
B町、業者(XやY)、納税者(GやS)は返礼品に変えて、
その益を分け合う制度のようです。
ふるさと納税制度によって、都市と地方の地域格差を減らしますが、
個人の貧富格差は、逆進性によって広がる制度と言えるかも知れません。
今回は制度の全体像を描くために、細かいことを省きましたが、
認められる控除額は、
寄付金額から二千円を引いた額(実質二千円と云われる所以)ですし、
所得によって、寄付の限度額が設定されていて、
住民票のある自治体へは、一定の税収が確保される配慮もあります。
そして何より、手続きが面倒だと言われれば、それまでです。
いままで私も利用していなかったので、エラそうな事は言えませんが、
情報弱者は、知らずに損をしているということかもしれません。
まだ制度利用していない納税者なら、一考の価値はあると思いますよ。
今年の所得に対しては、年内の寄付ですから、
ぜひとも、いそげー!?