「だから荒野」読了しました。桐野夏生さんの小説です。
専業主婦が家出するという設定と、タイトルでチョイスしました。
家庭崩壊と再生を描くとあれば、
シリアスな話のように思いましたが、私は終始、笑って読めました。
むしろ、非現実的なコメディのように感じたほどです。
家族だからこそ、甘えとテレがあり、
我がまさった冷たい言葉の応酬が、まぁ、ひどい。
そして、思い通りにならなければ苛立ち、衝動的な行動を繰り返し、
物事から逃避しては悪い方向へ展開していく。
ひどい行為に対しては、ひどい顛末を与えて、
それで溜飲を下げるような滑稽さがありました。
フィクションだから笑えるのでしょうが、
現実にここまでひどい人は、なかなかいないでしょう。
読み手は、自分の家庭の方がマシだなと安堵するのでしょうか?
また読んでいて思ったことは、
「苛立ち」や「衝動的な行動」から「身勝手」が多い人は、
見ようによっては、考えるよりも先に行動をする人に映ります。
そして、自分のことも考えずに行動するのですから、
当然に他人のことなんて考えないんですよね。
すなわち、思いやりを持てない人でもあるのだなぁ~と思いました。
良いも悪いもなく、本人に他意もなければ、
その場限りの気晴らしを繰り返して、
いつのまにか自滅していくタイプは、こうなのかもしれません。
まぁ私も、多忙で時間に追われると、
自暴自棄の衝動に駆られることがないとは言い切れませんから、
自戒をしたいと思うまででした。