「陰日向に咲く」読了しました。
10年前の出版ですね。劇団ひとり氏の著作です。
もはや私には芸人さんのイメージが強くて、
最初は、コント集を読んでいるようでした。
そして、山崎ナオコーラさんの作風を想起しましたが、
物事を捉える視点をコロコロと変えて、楽しませながら読ませます。
そんなエピソードの中短編5話を全て読了すると、
アレヤコレヤが紡がれていることがわかり、
悲喜交々の人生模様が浮かんでくる構成も魅力でしょう。
読みやすくて、嫌味なキャラクターも少なくて?
全体的におもしろかったのですが、なぜだか私の心に残りません。
確かに、おぉ~っと感嘆する場面もあって、
人の弱さや思いやり、そして、切なさ等も描かれているのですが、
どうしても、その個性や背景が特殊すぎて、
心に沁みるような深い共感ができなかったのだと思います。
読ませるねーとは思いますから、
エンターティメントとしては、良作だと思います。
作家志望の人なら、構成や伏線の張り方なんかは、
よい手本になるような気がしました。
魅せ方がうまい一冊ではないでしょうか。